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碧と白煙(旧題:山中問答)ツイッターログ


「駄目、だよ」幼子の手からそっと一房を取り上げて、養い親はやさしくわらう。「だめ」これには、毒がある。口にしたが最後、ぐずぐずと胸を侵して、手足の先から腐らせていくような。それは、まるで。「堕ちた天姫のような、」遠く昔に語られた、恋に身を焦がし死んだ姫の名を、まだ忘れられない。
私の養い親は、ひとではない。ひとではないけれど、人の顔をして、人の手で、私に触れる。「  」ちいさく呟いた言葉に、彼は艶然と微笑んだまま、けれどなあんにも、答えなかった。/――――彼の人が姿を消す三日前のこと
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